SaaS コラム SaaS Columns
「クラウドを有効活用するためのシナリオ」
vol.11 SaaS、SOA、Webサービスの関係
SaaSは、出現当初は特にSOA(Service Oriented Architecture)やWebサービスといっしょに語られることが多く、 「SaaSはSOAを具現化したソフトウェアの一形態」と言うベンダーもあったほどです。 お客様にSaaSについて説明する際も、三者の関係をよく質問されます。そこでそれぞれが出現した経緯を振り返りながら、それらの関係を整理してみます。
【SaaS、SOA、Webサービスの関係】

- 1990年代 SOAが出現
- 社内外の業務ソフトウェア部品を、ネットワーク上のサービスとして組合せ連携させて業務システムを構築するシステム設計手法 「SOA」が出現しました。アプリケーションの部品化・再利用によって システム開発の効率化と全体最適化を図る方法として期待されました。
- 1998年 XMLが出現
- システム間で交換するデータを記述するためのプラットフォーム非依存の標準言語「XML」が出現しました。
- 2000年頃 Webサービスが出現
- ネットワーク上のシステムを連携するための標準技術「Webサービス」が出現しました。
交換データやAPIはXMLで記述されるため、インターネットを越えて異なるプラットフォーム間 (Windows+.NETとUNIX+Javaなど)でもシームレスなシステム連携が可能です。標準形式のAPIを持ち、他のシステムから連携できるアプリケーション自体のことを Webサービスという場合もあります。 - ※単なるWeb上のサービス(APIを持たないWebアプリケーション)と混同されることが多いため、「XML Webサービス」という場合があります。 最近はWebAPI(または単にAPI)と呼ばれることが多いです。
- つまりSOAを実現するための技術やアプリケーション形態がWebサービス、とも言えます。 SOAの設計手法のもと、社内外のWebサービス(社内の他のシステム、取引先のシステムや SaaS)を組合せてアプリケーションを作ることをマッシュアップ、あるいはサービスインテグレーションといいます。
- 2002年頃 Webサービス・アプリケーションの普及
- この技術の実用化が進み、 Webサービス・アプリケーションが普及し始めました。 インターネットで公開され、多くのユーザ・アプリケーションから利用されるWebサービスは当時「商用Webサービス」などと呼ばれていました。 米国では既にセールスフォース・ドットコム社(以下セールスフォース)やアマゾン社等が商用Webサービスの提供を開始していました。
- 2005年頃 SaaSというキーワードが出現
- 技術の標準化が進み、インターネット環境が整い、商用Webサービスにカスタマイズ機能を加えたものが、SaaSとして注目されるようになりました。
セールスフォースの成功を機に、調査会社やマスコミがSaaSと名づけて騒ぎ出したとも思われ、
そのためセールスフォースのサービスがSaaSの代表とも言われています。
コンセプトは、「ソフトウェアをサービスとしてインターネット上で提供するオンデマンドアプリケーション」。 当初はマルチテナント、システム連携機能(API)、セルフカスタマイズ機能がSaaSの特徴とされていました。 その後流行に便乗し、オンデマンドというだけで、従来型ASPでもSaaSと名乗ってプロモーションするベンダーが出現してきます。 SaaSの定義や存在価値に混乱を来たした時期もありましたが、最近ではオンデマンド型のアプリケーションは全てSaaSと言われ、 SaaSとASPの境界はなくなっています。
SaaS、SOA、Webサービスを一文で表現すると、
「Webサービス型の(つまりWebAPIを持つ)SaaSを、SOAに基づいて組み合わせる」
あるいは、「SOAの考えのもと、Webサービス技術を使ってSaaSを連携する」という関係になります。
適切なSaaSを適切な単位で連携させて業務システムを構成し全体最適を図るために、
SOAは有効な設計手法であり、Webサービスは標準的な連携手段なのです。
日本では期待ほど普及していないSOAですが、クラウド時代の今こそ、最適なサービスインテグレーションのために見直されるときなのではないでしょうか。
- 補足 「クラウド」の起源
2008年、グーグルのエリック・シュミット氏が、情報とアプリケーションは、特定のプロセッサーやシリコンラック上ではなく、サイバースペースという拡散した大気 (雲、つまりクラウド)の中にあり、我々はクラウドコンピューティングの時代に移行しつつある、と発言したことから、クラウドという言葉が流行語となりました。 その後アプリケーション(SaaS)だけでなく、インフラ(IaaS) や開発・実行環境(PaaS)、データベース(DaaS)、 デスクトップ(DaaS)などあらゆるITリソースがサービスとして提供されるようになり、 その総称がクラウドサービスです。
アマゾンのクラウドサービス(AWS)の出発点も、ECサイトの運営に必要だった拡張性のあるITインフラの整備と、ECサイトの商品をユーザーが紹介するアフィリエイト販売に端を発したAPI提供だった、ということです。
注:本記事は、岩本のぞみの見解であり、必ずしも日本ユニシスの方針を語るものではないことを、予めご承知おきください。
