SaaS コラム SaaS Columns
「クラウドを有効活用するためのシナリオ」(最終回)
vol.13 これからは利用者が提供者になる時代
前回は、主に既存システムをクラウドに移行するに当たっての備えについて述べました。 しかしクラウドの真価はビジネスイノベーションです。Vol.3「コスト削減だけじゃない!クラウドの真価はビジネスイノベーション」や vol.10「どんな業務システムがSaaS利用に向いているのか」でも述べたように、クラウドを活用することで新しいビジネスが生まれます。 たとえば、IT業界以外の企業が、自社が持つ情報やシステムを他社に提供するという、ITユーザ主導のクラウドサービスです。具体的には次のようなものがあります。
- ガス会社が工事で蓄積した地図・地理・所在地情報を活用した、地理情報サービス
- 運送会社の輸送トラッキング情報を通販会社に提供するサービス
- 建設/不動産会社の不動産情報を活用した不動産管理
- 建設に関わる協力会社間の情報共有や労務安全管理・作業調整
- 出版社による電子書籍や各種学校の教材などのコンテンツサービス
今後業種特化型SaaSが増えると予想されていますが、そのノウハウはIT業界よりも各業種の企業側にあり、 ユーザ主導のサービスの拡大とそれによる業界クラウドの発展が期待されます。
【クラウドで生まれる新たなビジネス ― コンテンツビジネス】

この図は、教育サービスビジネスを図示したものです。
教材出版社や各種専門学校、学習塾などが、eラーニング教材を学習管理SaaS(日本ユニシスのLearningCast等)
に搭載することですぐにサービスを開始できます。今まで教材を書籍やCDなどで販売していた教材コンテンツ提供者にとって、
新しいビジネスチャンスです。 受講者は、オンラインで学習管理システムを使った効果的な学習が可能です。
コンテンツ提供者とクラウド事業者とは、利用者数に応じたレベニューシェアの形をとることも可能で、クラウドを利用した新しいビジネスモデルの一例といえます。
このように、SaaSを利用すれば容易にコンテンツサービス提供者になれます。
IaaS、PaaSを利用すれば、
SaaS提供者になることも従来より容易になります。
クラウドを介して、他社のデータやアプリケーションとの組み合わせも可能です。もしかしたら異なる業界の思わぬところに活用されるかもしれません。
(ビジネスパークはそのようなビジネス創出の場です。)
そのとき主役になるのがユーザ企業のIT部門やIT子会社です。
ユーザ企業だからこそ持ちうる価値ある情報・コンテンツ・業務ノウハウを生かし、
SaaSやコンテンツサービスとして展開する・・・
新しいビジネスを立ち上げるチャンス到来です。
最後に
江戸時代の武士の世界でも、「ものを持たないことが変化への対応力を高める」と言われていたそうです。
「所有」したものにはどうしても縛られます。それが高価なものならなおさらです。持ち家よりも貸家のほうが引越しやすいのと同様に、
高価なICTリソースを所有せずに利用することで機動力を上げ、ビジネス環境の変化に対応でき、ひいては、変化・変革を起こすことができるのです。
リソースを融通し合って全体が最小限になるよう無駄なく使うというクラウドのコンセプトは、世の中のあらゆることに当てはまります。
~世界には日々の食事もままならない人達が大勢いる一方で、そのような国から食材を輸入しながら大量の食料を廃棄している飽食の国がある。
/ペットブームに乗り、商品としての犬猫を繁殖させている一方で、毎年何十万匹もの引き取り手のない犬猫が殺処分されている。~
・・・
ものや命をいたずらに増やさずに今あるものを大切にし、需給の過不足を融通し合えば、そのような無駄や犠牲はなくなります。
コラムを書き終わってすぐに、東日本大震災が起きました。今私たちにできることは、義援金はもちろんですが、 省エネに務め不自由も分け合うことだと思います。これからはエネルギーも食料も衣料もICTリソースも、 節約・共有・融通し合って大切に使う時代にならなければいけないと切に思います。
注:本記事は、岩本のぞみの見解であり、必ずしも日本ユニシスの方針を語るものではないことを、予めご承知おきください。
